梅の赤壁オープン

2017年10月16日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎ついにその姿が現れる

昨日まで足場の間から見ていた梅の赤壁がついに現れました。朝から足場を手際よく外していきます。少しずつその姿が、、
そしてついにその全貌が現れました。
おおおーーーっ。。。きたぁ〜。。

これまで一緒にこの赤壁をつくってきてくれた現場の方々一同、赤壁の勇姿に顔がほころびます。その姿は期待以上の堂々たるものでした。へんてこりんなデザインだと皆さん、疑問に思ったことでしょう。どうなんのと不安に思ったことでしょう。しかし、そのへんてこりんなデザインが、左官の名匠、原田氏の手によって風格が加わり、新しくも普遍性をもった意匠に変わりました。

ありがとうございます。原田さんにお願いしてくれて。
この赤壁は原田さんにやっていただきたいと、現場が始まる前から願っていましたが予算の都合もあり、なかなか言い出せないでいました。そこにとある偶然が重なり、原田さんがやってきたのです。これぞ、願えば叶う!でしょうか。しかし、それを許してくれた所長や皆さんに感謝です。

ベンガラの松葉びきの赤壁はしなやかな天鵞絨のような風合いに思えます。小端瓦は梅と雲と水をイメージしながらデザインしましたが、その全体はまるで天に向かう龍のようにも鳳凰のようにも見えます。

夕方、この赤壁に灯りが灯りました。するとその龍や鳳凰がさらに力強く浮き出して見えます。壁から動き出しそうです。ぼんやりこの壁を眺めているとこれまでのことが浮かんできますが、やはりこういう大変な仕事は完成した時の満足度が違います。

「面白かったね。またこんな仕事してみたいね。」と隣のN氏に言うと「ううう、、僕はしばらくはいいです。。」と言います。そうだね、大変だったもんね。すこし休もうね。

岡部泉

日田の町

2017年10月15日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎手仕事のあるまち

今日は現場は、日曜日なので職人の皆さんも少ない。そこでここらの地域調査です。うめひびきのS氏に案内してもらいます。まずは以前から行きたいと思っていた小鹿田焼の窯元を訪ねます。途中の山道には今年の豪雨がもたらした傷跡がまだ残っていました。あらためて災害の大きさを確認することになりました。

小鹿田焼はまさに民藝の器です。私は昔から柳宗悦の民藝運動に賛同していて「用の美」という言葉が好きでした。小鹿焼は全てが手作り。土も釉薬もここで作られます。緑釉に用いられる酸化銅も銅線を焼いて銅を取り出して釉薬にまぜるとのことでした。もちろん器つくりも電気もいらない蹴ろくろです。訪ねた窯元にも二つのろくろがありました。お父さんと息子さんのろくろです。大概はろくろは二つと決まっているようです。これも作りすぎない、産業品にならない、大量生産にしない小鹿焼のポリシーなのでしょうか。土も釉薬も全てが自然のものです。丁寧に自然の産物を使って暮らせるだけのものをつくるということなのかもしれません。なにせ、今は有田だって陶土がなくなってしまっているのですから。一度焼いた土はまた土に戻ることがありません。陶器つくりは地球を削ってできているといつも思っていました。
民藝の真髄は、手の限界が自然や物事の調和を整えるということなのではないでしょうか。人間が奢らないように手という枠をつくるのが民藝ということなのです。

この窯元さんでは、うめひびきの卵をとく緑釉の受け皿付き茶碗を作ってもらいました。本当はこんな大きさの器はつくらないんだけどとお父さんは言います。いつも作っている形とサイズではないとのことでした。でも、つくってみたら案外他のお客さんにも喜んでもらえたそうです。お客さんがまたお客さんをつくるんだねと言ってくれてよかったです。

私も小鹿焼の器を購入して、この山深い静かな窯元を後にしました。次は豆田町で開催されているバーナードリーチと小鹿焼の展示会を見に行きます。
バーナードリーチの作品は、駒場の民藝館でよく見たものです。良く聞いたらその民藝館の作品が陳列されているとのことです。あら、懐かしい。
民藝は世界にももちろん通じているし、民藝の心は共通です。詠み人知らずの民藝こそ愛すべきものであると思います。

昔の想いが左官の町、豆田町でよみがえってきました。
天領の町、豆田ではかつて物、人、金が盛んに流通していただろうと容易に想像できるほどしっくい壁でできた蔵が立ち並びます。左官好きにはたまらない町なのです。その多くの蔵には、その家の繁栄を願うべく鏝絵も付されています。長寿を祈る鶴が舞い、子孫繁栄を願う兎が勇ましく波に乗り、出世を望むために鷹が飛ぶ。松、梅、竹、恵比寿、大黒などそれぞれのモチーフに願いを込めた鏝絵は当時、左官の名手がその家の主人の想いをこめて腕を振るったことでしょう。まさに詠み人知らずですが、手の仕事がまちに根付いていたことがわかります。そういう手の仕事があるまちは、時代を経てもこれを残したいという愛着が生まれてきます。

我がうめひびきにも、この伝統的な手の仕事を残すことができました。大きな赤いベンガラの壁面には、繁栄を祈るため梅の花が波にのり空に舞うがごとくです。どうぞ、いつまでもこの館が愛され繁栄しますように。。。

岡部泉

うめひびきの赤壁

2017年10月14日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎ついに始まった、、

うめひびきの赤壁の上塗りが今週始まりました。いよいよ、ここに赤い色が登場。待ちに待った赤壁。
日田はさすがに蔵の街で、いい左官の仕事が残っています。その蔵のディテールとダイナミックな仕事に触発されてこのうめひびき新館の赤壁があります。日田の左官の名人、原田氏の渾身の思いをここに込めてほしいと思っています。

現場からその経過が送られてきます。あぁ、、いいなぁ。。わくわくしてきます。ということで、北海道からすぐ九州に飛びます。この仕事を見ずしてこの現場の意味がありません。朝飛行機をキャンセル待ちして飛び乗りました。わくわく、どぎどき。。

現場のN氏に日田まで迎えに来てもらって現場へ直行。やってるやってる。原田さんもきてくれている。赤壁の松葉びき(原田さんの庭の松葉を束ねて生渇きの赤(ベンガラ)しっくいに松葉で優しく表情をつける技法)が赤の色に優しい影をつけていてさらに赤が深くなっています。
やはり赤は人の心を惹きつける色です。

その赤を引き立てるように柱は黒ノロになっています。そして赤壁には小端瓦が梅の形や水や雲の形になって描かれています。その隙間を塗るのは大変だったでしょう。特別なコテも作ってもらいました。その数40本。小さな隙間を埋めるほそーーいコテもあります。爪楊枝くらいの隙間なのです。

それを全国から集まってくれた18人の左官職人さんたちが一気に仕上げてくれました。

今日は、蔵の入り口となる玄関のしっくいの仕上げです。これがまた美しい。コテの技が光る素晴らしい仕事なのです。夕方暗くなるまでその仕事を見させていただきました。

岡部泉

阿寒の秋

2017年10月12日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎眼に飛び込む赤

今年の阿寒湖の秋は赤が美しい。どちらかというと原生林の多い印象の阿寒湖ですが、釧路空港からの山道には眼も覚めんばかりの赤い紅葉が点々とあります。ここ数年のなかで一番の赤ではないでしょうか。深く強い赤が眼に飛び込んできます。赤という色はなんと心を昂揚させる色なんだろうかと思います。
(ここでダジャレをいうつもりはないのですが、、)

あぁ、、雌阿寒岳に登る絶好の季節です。と思うのですが、工事会議が待っています。次は絶対登るつもりで予定を立てないとと悔しい思いが募ります。おっとその前にまずは体力と脚力を戻さないといけません。若いころは(もう年寄りのセリフですが)本当に山を飛ぶように歩けたのに、、と思い出します。

でも今からでも遅くありません。来年の目標は「もう一度山へ」にします。こんなに出張が多いのですから、あちらこちらの山に登れるはずです。仕事と山の両立を図りたいです。どちらも辛そうですが。。

岡部泉

本気で何が悪い

2017年9月27日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎まったくだ、本気で生きなきゃつまらない

JR九州の会長であるK氏から本が送られてきました。「鉄客商売」に続く2冊目にあたります。今度の本のタイトルは「本気で何が悪い」です。本気です。どこか後輩と今のぬるっとした社会体質への触発にも思えます、結局のところ、本気でやったものがやっぱり幸せなのです。本気って新しい人生の場面を開いてくれるからです。

そりゃ、家庭も大事、子供も大事、大事なものばかりを人は持っています。しかし、私にとって、一番大事なことは自分の力を全力で活かすことです。(それが仕事と言ってるわけではなく)中途半端って一番後悔します。何も得るものがないからです。それが失敗であっても成果が出なくても、そこに学びがあるからです。

時折、体も壊すし、友達も失います。家族さえ失うことがあります。しかし、それでも得るものは大きく、それが自分の課せられた人生かと思います。まさに生業です。

そして、人にはやはり器というものがあって、それなりの器の中で全力を尽くせばいいのです。ないものねだりをすることは、やはり、自己を知らないものがすることです。夢は必ず叶うといいますが、それも違っていると思っています。本来神様がくれた器の限界を限りなく使い尽くすことが本望です。大概は使い尽くしていないのです。

K氏はまさに使い尽くしている方です。ご自身で戦いは自らのぞみ、戦いに勝つまで奮闘する。かつてそんな戦士がたくさんいた時代だったかもしれません。今は戦うことに制限をされている不幸な時代です。

この本の学びはたくさんあります。学びの19条があります。早速机の前に貼りました。
まず行動はキビキビ早く、ここからです。

岡部泉

若者たち

2017年9月6日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎良い種はきまっている?

今日は、うちの若い子と打ち合わせです。最近は、男の子でも育児があったりと皆で集まって飲みにいくこともあまりなくなりました。今日は久しぶりに数人で近くの店に食事にいきます。
いろんな話になりますが、やはり人間は持って生まれた良い種というものがあるのだと思いました。もちろん遅咲きの子もいるんでしょうが、大抵何かになるだろう片鱗は20代で見えているというもの。勝負は女の子であれば27歳、男の子は30歳位で、それまでに何か事を起こしているみたいです。

一緒に飲んでいた子は今年30歳。とても成果を重んじる責任感のある子です。家を買ったんですよとさらりと言います。へぇそうなんだぁ。がんばってるもんね。この子はきっと順調にステップアップして30代、40代を迎えていくんだろうと思います。かたやもう一人の子は、彼より年上だというのに貯金もせずゲーム三昧人生。こうやって差は開いていくんだなぁと若者たちを思います。

しかしそんな私は、思いつきで何かをやめたり始めたりと何度か転落人生を送っしまったり、良い種とは言えません。その分苦労もしますが、それもまた楽しです。順調な人生もいいけどでも時々寄り道もいいもんだよって、ひねくれ者はまた思うのでした。

岡部泉

養生訓

2017年9月5日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎江戸のころから同じ

毎日の電車の中で、貝原益軒の養生訓を再び取り出して読んでいます。本当にこれは健康の真実と合点が行くことばかりです。なんでも過ぎたるは及ばさるが如しなのです。食べることもほどほど、輝度哀楽もほどほど。いつも平穏でいることを目指しましょう。そんな教えですが、簡単そうでなかなか実現するのは難しい。

平穏。これがつまらないと感じるようではいけません。こころはいつも波立つものですが、平に整える術が大事。そこができない不器用で悟らない自分です。呼吸を整えて、良い食事をし、言葉を慎み、清潔な身なりに気をつけ、仕事もやりすぎることなく、良い睡眠をとる。

そんなで人生面白いのかと思う時もあります。とことん気がすむまで仕事をしたり、狂ったように自己表現をしたりすることを生業とする世の芸術家たちは平穏と逆の暮らしをしています。平穏と破綻。破綻もそれもそれで、必要な存在ではあります。破格もないと進化がないですから。さて、使い分けはできますでしょうか。

岡部泉

青い鳥

2017年9月3日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎青い鳥も青い芝生もない

最近、ちょこちょこと働きたいという人が訪ねてきます。若い女の子が面接にくると人生相談みたいになるのがオチです。どこか理想的な職場を求めています。かっこいいインテリアの仕事で、華やかでやりがいがある、そんなところ。NO,NO,,華やかに見えるけどそれはたった一瞬。99パーセントは地味な仕事です。でもそれも体験してみないと自分に合うかどうかわからないのです。それこそ自分の好きなデザイン事務所に頼み込んで入るのがいいのです。そして夢が膨らむのか夢が破れるのか、自分の実力も適性もわかるのです。大概は青い鳥はどこにもいなくて、隣の青い芝生も青くないことがわかるでしょう。
入れ替えの激しいのがデザイン業界です。こうして青い鳥を求める人がふわふわと回遊します。

それにしても、うちの会社に興味がないのに、「第一志望の前にちょこっと経験してからにしようと思って、、」と言われても困るな。。のんびりそうに見えて、案外、うちの仕事って難しいんだけどな。

自分の働き先を選ぶってそれなりに大変だなとあらためておもいました。私は成り行き主義なので、働き先を選んだことはありません。何かになりたいという気持ちが希薄なんだとおもいます。うちにはそういう人が向いています。生半可に夢があるのは困るのです。うちのT君も早や13年。彼もこんなに働くつもりもなくだったかもしれないけれど、何となく続いています。まさに成り行きです。

岡部泉

日田の旅館

2017年9月2日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎宿題もだんだんと減って。

日田の旅館はまさに佳境。昨日までに沢山の意匠や指示書を出しました。確実に私の宿題は終わりに近づいています。8月の末までに、現場の皆さんが困らないように未決の素材や意匠がないようにしたいと思っていました。私に課せられた宿題は残すところあと数項目となっているはずです。

ここ1ヶ月、現場に行けていないので、次に行く時が楽しみです。
梅干し壁に瓦が貼られていることでしょう。この作業も見たかったな、、

同時並行で、梅酒工房や売店、道の駅があります。考えてみたらかなりの仕事量です。
我ながら、よくぞここまでやれたものだと思います。関わっているのが、不肖の弟子、T君と二人だけなんですから。これも現場の皆さんの協力あってのことです。現場がとてもいい関係で進められたことが一番の助けでした。長い現場はやはり楽しく面白くが原則です。まだ終わってはいませんが、ようやく7合目。ここまでありがとうございましたと申し上げたいです。

岡部泉

秋到来

2017年9月1日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎涼しい、、これでいい。。

今日は、昨日と比べて格段に涼しい。生きた心地がします。もうこのままでお願いしたいです。東京にようやく秋がやってきました。

秋といえば、松茸。一度松茸狩りに行ってみたいとおもいながらも、まだ体験したことはありません。山の中を歩いていると本当に生き返る思いがします。本当に山が好きなんですね。しかし、今年は松茸が不作とのことです。さんまも半分と不漁。今年の秋は寂しい秋となりした。

新聞を見ると幸福度は、高いそうです。こんなに経済も成長していないのになぜ?と疑問に思うところですが、実は阪神淡路大震災後の幸福度調査も高かったそうです。まずは平穏こそが一番とあきらめからくる幸福度ではないかという評価でした。でもそれでもいいのではと思ったりします。成長だけが幸せではなく、持続可能な平穏の方が優先されるのではないかと思うのです。沢山の物やお金がなくても幸せだと感じることの方が豊かなのでは。
成長戦略よりも、こころの安定と豊かさを求めることの方が優先ではないかと思うのです。

今週は、どこかの国から危ないものが飛んできたり、不穏な気持ちにさせられました。自国の益ばかりを主張して争っても仕方がないのにと思うばかりです。

岡部泉