言葉の達人逝く

2017年4月12日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎言葉に細心の想いをかけた人

詩人の大岡信さんが先日亡くなったという記事を目にしました。中学生くらいの頃にこの方の名前を覚えました。
また一人、文学の巨星を失いました。

折々のうた。。。朝日新聞に掲載されていたこの「折々のうた」を読んでいるとはっとすることも多く、言葉を選び切ったうたは、とても奥深くに幾重にも広がりがあり、時間や思いや風景を閉じ込め研ぎ澄ました最小限の物語のように思います。

谷川俊太郎さんが朝日新聞にとても美しい哀悼の詩を寄せていました。
言葉でなく波音で送る。
なんと言葉さえ超えた声さえ意味さえ超えた境地を綴っています。
その詩の品格の高さに絶句しました。

ヒトの言葉で君を送りたくない

砂浜に寄せては返す波音で

風にそよぐ木々の葉音で

君を送りたい

 

声と文字に別れを告げて

君はあっさりと意味を後にした

朝露と腐葉土と星々と月の

ヒトの言葉よりも豊かな無言

 

今朝のこの青空の下で君を送ろう

散り初(そ)める桜の花びらとともに

褪(あ)せない少女の記憶とともに

 

君を春の寝床に誘(いざな)うものに

その名を知らずに

安んじて君を託そう

大岡信さんは、三島の出身だったそうです。私も子供頃に三島の近くの伊豆に住んでいて、何度もバスで通った街です。とても親近感を覚えます。あらためて私も言葉を見直すためにも「折々のうた」を読み返してみようと思いました。
ご冥福をお祈りします。

岡部泉