3月11日

2020年3月12日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◾︎被災地は遠いのか

9年前の東日本大震災の様子をテレビで見た時の驚きと恐怖を忘れることができません。あまりにも大きな震災にどうすることもできない無力感が襲ってきました。たくさんの方が苦しんでいて悲しんでいる。

私ができることは何だ。そんな思いがこみ上げてきました。

前の年にアメリカでたくさんの料理人たちと大きなカンファレンスがありました。その料理人さんたちの協力を得て、「東北の食を守ろう」をスローガンに活動を始めました。4月、岩手のシェフを訪ね、一緒に炊き出しを始めました。陸前高田の町であったところを車で走っていくのですが、町がすっかり津波で失われていました。ナビなど当然役に立たず、壊れた家の柱や壁が高い壁になったところを迷いながら走りました。沿岸の町はあまりの津波の爪痕で以前の町を想像できませんでした。

そして、5月31日、インターコンチネンタルにて、京都、東京、大阪、沖縄、日本全国の一流料理人さんと東北のシェフと生産者さんをお呼びして、カンファレンスとオークションをしました。そしてその時のお出しした料理が本当に凄かったのです。一流料理人の方々が東北の食材を使って、料理を作ってくれたのです。東北の食材なんて使ったこともなかった方々ですが、さすがに一流です。見事な料理に仕上げてくれました。青森、岩手、宮城、福島、各県に問い合わせをし食材集めをしました。その時は電話を離せないくらい、懸命に生産者さん、組合、そして料理人さんと電話をしっ放しでした。

特に大変だったのが福島の食材でした。川俣シャモと須賀川のきゅうりを使うことにしたのですが、放射能検査をきちんとするにも検査施設がいっぱいでなかなかやってくれませんでした。安心だという証明がないといけないと思ったのです。福島の食材を使いたいと言ってくれる方はいないかと思いましたが、手をあげてくれたのが吉兆の徳岡さんでした。川俣シャモときゅうりのスープを作ってくれました。京都のお店におくり仕上げてくれました。
皆さんに東北っていい食材たくさんあるね。みんな健康食だと言ってもらった時はとても嬉しかったです。

たくさんの人の努力と親切があり、東北を知ってもらうこともできました。炊き出しから仮設住宅の訪問、水産加工場の改善支援、、、いろんなことを9年の間にさせてもらいました。なにか役にたったのかかわかりませんが、東北の地はすっかり私の生活の中にあります。

会社の方針も随分変わりました。地域のためになる会社へと進みたいと思いました。

しかし、その思いは残念ながら社員には伝わらず、3月11日はすっかり忘れられていて、新型コロナウイルスの心配か、自分の瑣末なことへの関心で、関心のない遠いところのもののようでした。本当にがっかり。。

岡部泉