旅館の郷土力

2018年11月1日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎自分が主体的に生きてこそ地域にも未来がある

今日は、親しくさせていただいている会社の社長さんに依頼されて東北で「旅館の郷土力とは」という座談会をします。郷土力という言葉は勝手に私が作り出した言葉です。風土+経済性=郷土力として、旅館の企画の際に使わせてもらっています。風土とは和辻哲郎氏の「風土」からすると人間は自然環境によって形成されており、風土は人間と自然が織りなしてきたものであるようです。

しかし、これからの風土感はまた異なったものになるように思えます。今は圧倒的に自然観が遠くなってしまっているように思えます。室内が快適であればあるほど人は自然に影響されないものになってしまいます。そして、情報が広く入手され、民族がシャッフルされればされるほど民族性が生み出す風習や表現は希薄になっていくでしょう。そこに必要なのは自然や人間を観察する目、俯瞰したのちに達する知的配慮だと思います。自然を静かに見守り慈しみ、変化をくりかえす毎に必要とされる文化を絶えず見守り感じる必要があるのです。変化は恐れてはならず、変化の後に訪れる進化を受け入れる必要があります。残すもの残さないものの判別も必要だと思います。

それに加え経済は変わっていきます。経済の大小も多様性も今後は必要です。選ぶ力が必要です。

この座談会では、旅館の話を超えて、地域の今後を心配する声がたくさんありました。こんなに観光客が来なくて、どんどん衰退していいのだろうかなど。地域はどこも疲弊していくのです。しかしこの土地の星空は手を差し伸べたくなるほど美しい。あたりに余分な光がないからです。その価値もあるではありませんか。これまでとは違う価値を考える必要があるのです。

座談会の最後に変化を受け入れてこその未来があると伝えました。たくさんの違う考えに接することはとても大事です。自分の価値観だけではこれからの変化の時代を楽しむことはできません。その反面、大切なものは何かを自分でもしっかり考えて貫くことが自分自身の安心した生き方になるのです。自分の大切なものは本当にこれでいいのかという確証を得るためにも、違う価値を受けていれて検証することが必要です。こんなことの繰り返しが、新しい風土を生んでいくのだと思います。血は混ざり、価値も混ざり、言語も混ざり、しかしその混ざり合ったところから自分で価値を決めるのです。主体的に生きてこそ未来が開けていくのだと、このような座談会を行って再び気づかせてもらいました。

岡部泉