ザ・職人

2019年3月12日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 未分類, 碧の座物語

◼︎久住さん、こういう人は滅多にいない

碧の座の工事も終盤をむかえます。終盤というのは足場が外れる時。そのあとはひたすら床をはって仕上げていきます。

その終盤にむかって、ラウンジの暖炉カバーをつくります。今回は初の土壁暖炉です。テーマは縄文。いろんな絵を描きましたが、これでいいかと思うところまできました。

土壁を久住さんにお願いします。今日は久住さんと打ち合わせをする日です。私が描いたスケッチを送ってあります。しかし、久住さんも縄文というテーマにそってスケッチを用意してくれていました。

久住さんのスケッチはとても複雑で凝っていました。それも面白い。でも久住さんは、やっぱりこっちがええな、さすがや、と私のスケッチをみて言ってくれました。いい人です。

こういう仕事は大好きです。わくわくするのです。高度な技術と熱意がある仕事。時間を超えてまで熱中できる仕事。これこそ私が求めていた仕事です。ほんとに楽しい。東京にいるといつもお世話ばかりです。でも工事現場には、たくさんのプロフェショナルがいます。
その最高峰である久住さん。

6メートルもある暖炉の円筒の土壁。原寸大にして私の絵を描いてくれます。二人で床に這いつくばって縄文文様のカーブを決めたりしていると、おかしな熟年のオタクという風情です。

さてさて、明日からこの原寸大のペーパーをあててトレースしていきます。縄文暖炉の始まりです。

岡部泉

器選び

2019年3月2日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎うつわが料理のコンセプトを表す

今日は東京に戻り、碧の座のうつわの構成をあらためて見直しします。うつわの構成はとても細かい配慮が必要です。懐石料理の背景をつくるバックグラウンドミュージックみたいです。この音楽をつくることで懐石料理の方向性が決まることもあります。

実際、どんな料理を出すのか、まだ決まっていません。それなのに、決めているってどういうこと?って思いますが、空間と同じように決まりをつくるのが私の仕事です。相手がそれを信頼してくれている料理人さんであることも幸せなことです。

もっと時間があればもっとできたのになぁと思うのですが、これもいつものこと。ギリギリにならないと、追い込まれて、初めてこれでいいか、、と思えるのが不思議です。

岡部泉

損した二月

2019年3月1日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎3日損した気がする

二月は短い。3日損した気になります。こんなに大変なときは尚更です。あと3日あったらこの仕事は終わっていただろうし、少しはホッとできたんじゃないかと思います。

もう三月。果てしなく恐ろしい。建築も大変ですが、もう建築には手出しができません。もう変えられないのです。あとは家具と備品とアートワークが私を待っています。そして、いろんなグラフィツクも。4月10日から納品作業が始まります。そのためには今週全てのものを決めないといけません。

苦しいです。もうだれもがこれなんだっけ。。と言い続けます。人間の脳は苦しいと忘れるように仕組まれているのだと思います。そうしないともう次のことができないからです。
昨日の自分の考えにも自信が持てなくなりました。

岡部泉

寒中ジンギスカン

2019年2月28日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎ジェットヒーターから離れられない

支笏湖の碧の座の分科会です。ロビーの土壁もすっかりできあがって、久住さんとそのしじみの入った土壁を見て回ります。本当に青年のような純粋な心をもった方です。足場はあるものの、この新しい技法でできあがった土壁に名前をつけようと言われます。版築でもなく、なんといったらいいのか。。その名前をつける資格はこれを考えた人にあるんだよと言われます。星を発見した人みたいです。

次お会いするときまで考えておきます。

今日の午後、一旦おかえりになるそうです。ふと帰り際に見かけた久住さんはしじみ壁に丁寧にペーパーをかけていました。こうすると女の人の服が引っかからないかね。本当に左官が大好きな方です。そして仕事が好きです。懸命という言葉がこの方には似合います。

久住さんを見送ったあとは、再び細かな打ち合わせ。そして夜は寒中ジンギスカンです。
えっこれは何かの間違いかと思いたくなります。だれもがこれは本当にやるんですかと聞きます。こんな雪の中で。

雪のとなりで寒中ジンギスカンは実施されました。でもそのお肉は柔らかく美味しかったです。でもジェットヒーターからは離れられません。お決まりように夜半まで、大騒ぎは続きました。工事の緊迫感から少し離れられた時間でした。

岡部泉

富山

2019年2月22日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎富山は文化にあふれていた

富山を訪ねるのは10何年ぶりです。以前は漆や陶器の仕事をしていたので、北陸は第二のふるさとかとおもうほど行き来していました。

久しぶりの北陸は初めての北陸新幹線で行きます。二時間ほどで富山に到着。今は寒ブリがおいしいのだろうな。いやいや、今日は遊びではなく北海道の碧の座の器を選びにきたのです。しかし、いつもと違う仕事なので、緊張感もなくどことなく気楽です。

陶芸家さんの工房を訪ねていると、偶然、富山でも有名な日本酒蔵の社長にお会いしました。その社長さんの案内についていくと、なんというかスケールの大きな町つくりでした。このあたりは船問屋を中心に古い町家が並ぶ情緒ある地域です。その町に住む陶芸家さんやシエフ、ブルワーさんのために私財を投じて町家を改装しています。美しい町とともにその町が続くための文化や担い手を同時に育てているのです。
このようなことは、さすがに自社の仕事が回ってこそだと思いますが、その志に頭が下がります。

陶芸家さんや木工作家さんにすすめられ、リゾートホテルの中にあるレヴォというレストランに行きます。そこは彼らの作品とその日本酒が楽しめます。それだけなく料理も単なる地域郷土料理ではなくとても洗練されたものでした。丁寧に食材を扱い丁寧に味を確かめている、その丹念な料理にとても好感が持てます。

こういうことをちゃんとしなくてはと、改めて自分の仕事を振り返ります。そのためには余裕も必要なんです。こんなにバタバタしていたら、よくよく考える時間も悩む時間もありません。今の私には無理です。
いつかそんな時も来るでしょう。その時は何もかもにこだわっていい空間を作ってみたいです。

岡部泉

余震

2019年2月21日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎なんと、胆振地域に地震

富山の器巡りからホテルに戻ると、現場からラインが入っていました。地震がきたけどみんな無事という報告でした。昨日帰り際に、もし今地震がきたらしじみ入りの土壁困るねって話したいたところです。
建物も土壁も無事だったようです。ほっとしました。無事完成を願うと同時にもう余震はいらないと思うのでした。

岡部泉

碧の座工事会議3

2019年2月20日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎いよいよ手も出せなくなる

ゼネコンさんにお願いできることはもう何もなくなります。あとはひたすらつくるだけなのです。私は家具を選んだり、オブジェを作ったり、器を考えたり、、細かなことを詰めていかなければなりません。

責任というものがなかったら、とっくにここから逃げ出していると思うな。いつか終わると思うことですが、その道は遠く険しい。だいたい、何でも一人でやるというのがおかしい。。。
明日は富山に行きます。今回の料理に合う器を作家さんにお願いしにいきます。

岡部泉

碧の座工事会議2

2019年2月19日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎さすがもう頭が痛い

待ったなしとはこのこと。やることだらけなのは当然ですが、もう考える時間もなくなりました。これじゃないと思うのですが、悩む時間もリミットです。あと必要なことは諦めです。

良くならないとすごくストレスです。それでももう少し悩みたい、粘りたい、、そう思うともう頭が痛い。

岡部泉

碧の座工事会議1

2019年2月18日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎しじみ入れ始まる

ロビーの土壁はこの地の古代の地層を表現するために天井から徐々に薄茶、赤茶、黄茶、こげ茶、黒など地層色の土を重ねて塗っていきます。かつでの縄文人の豊かな生活を連想させるようなしじみを大量に入れ込みます。しじみは北海道の味噌醤油屋さんが出汁になったしじみを大量に使います。

一体何個入れ込むんだろうと思います。細い足場に左官やさんが並んで座り一つ一つ入れています。電線に止まったすずめのようです。巨匠の久住さんも手際よく入れ込んでいきます。私もそのとなりでしじみを入れます。こういう黙々とした仕事は心が落ち着きます。

こんもりとしたしじみを一番上の足場から眺めてみます。この足場が取れたら見れない光景です。しじみが土壁の空に浮かぶ雲のようにも見えます。久住さんが、この土壁の工法に名前つけようよと言います。この名前をつける権利はこの土壁を考えた人にあるけんと言います。

そうか、、なんて名前にしよう。土を積んでできた土壁です。なおかつ立体的です。この土壁が完成するまでに考えておこう。
またこんな仕事したいですねと久住さんと話します。やはり面白い仕事がいいです。わくわくする仕事がいいです。

あとはこの土壁とほかのものとのバランスを取るのが私の仕事です。
いよいよ緊張の時が始まります。

岡部泉

碧の座工事会議3

2019年2月7日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎さすが久住さん

今日は、久住さんが来る日です。今月からロビーの壁の下地を作り始めています。縄文時代から続くこの地の地層を再現するかのような積層の土壁を作るのです。この間サンプルを見せてもらいました。それはそれは圧巻でした。

それがこうしてここに実現していくのです。久住さんが来て現場へ案内します。すぐさま足場を登って確認していきます。その軽快な足取りはまさに左官の名手ならではです。
超プロってこういう人のことを言うんです。なまらプロなのです。

現場事務所に戻って、打ち合わせをします。暖炉カバーを土で塗ってもらいます。スケッチを見てもらい、その形を説明しました。打ち合わせも合点が行ったら本当に早い。こここうしたらいいんじゃない、こんなのもできるよとどんどんと話は膨らんでいきます。

本当のプロと仕事をするって本当に楽しい。さらにさらに良くなっていくことを実感できるのです。私は恵まれています。こうして本当のなまらプロと仕事ができるのですから。

きっと明日からノンストップで塗っていくんだろうな。まわりの左官やさんもいい勉強になります。皆さん興味深々だと思います。

明日から、最大の寒波が来ます。土壁が凍ってしまわないようと思います。どうぞ気をつけて。。

岡部泉