うめひびき来訪

2017年11月30日 | izumi | 奥日田温泉 うめひびき

◼︎懐かしい、、でもまだ1ヶ月

1ヶ月ぶりにうめひびきに伺います。まだ3月オープンの道の駅改装の仕事が残っています。まだ1ヶ月ぶりだと言うのに、本当に久しぶりという気分です。さて、うめひびきはオープンからどうだったでしょう。それが気になってしかたありません。

Y氏に早速伺います。「いいですよ。忙しいです。」わぁ、良かった。稼働率も成績も目標達成したようです。でもまだまだ伸びしろがあるので期待です。

さて、道の駅の工事がようやく始まります。ここも気を引き締めてがんばらなくては。まずはあらためてこの道の駅に求められることとは何かを自分の中で整理します。道の駅には産直マーケットとレストランがあります。レストランはかなり大きなスペースです。ここが稼働しないと本当に困ります。

このレストランは水辺に面していて、気持ちよいさわやかな風が印象的でした。温かな日には家族でバーベキューでもしたくなるようなところです。そんなところなので、ジビエもある地元の産物を生かした焼肉グリルにしました。気楽に家族で楽しめる自然感溢れる道の駅にしたいと思います。

何となく全体のイメージがはっきりしてきました。

岡部泉

うめひびきロス

2017年11月2日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎なんだか気が抜けちゃった

うめひびきがオープンして、本当に良かったのですが、終わってしまうと寂しいものです。まだ私は、道の駅の工事は残っているというものの、もうあの慌ただしく緊張感のあった現場にもう行かないんだと思うとなんだか寂しいです。

現場で夜遅くまで、食べるものもなくお腹をすかしながら頑張ったこと、その後夜中に日田駅前の居酒屋でみんなで反省会と称した飲み会を何度もやったこと、いつもおかしくて涙が出そうに笑ったこと、、、

寝湯をつくるのに、原寸のモックアップを作ってみんなで寝心地を何度も試したこと、暑〜い夏の日差しの中、大壁に私が作ったデザインの通りに小端瓦をひとつひとつ貼り付けていってくれたこと、その小端瓦は俺の人差指一本あけてという原田さん、その指が太かったこと、しかし、これぞ日田の左官という意地と醍醐味をみせてもらったこと、現場の終盤戦でセンパイが拡声器を使って玄関のタイル貼りの段取りについて演説をしていたこと、、、
苦しい時もたくさんありましたが、楽しく笑える時もそれ以上にありました。泣いたり笑ったり、、振り変えればどれも思い出に残る充実した現場でした。

もうこんな現場は一生ないだろうなという現場の皆さん。先生はいつもこんな面白い現場ばかりでしょと聞かれましたが、確かにあまり意識はしていませんでしたが、変わった案件が多いと思います。しかし、この現場はその中でも特別でした。新築案件であったこともあり、コンセプトを明確に決めて自らがコントロールでき、それを通せた案件だっだと思います。全てが完璧に思い通りであったかといえばそうではありませんが、大概のことはフォローしつつやれたと思います。その代わり自分に課した責任はとても重く苦しい思いもしました。

この案件には、集中した心があったように思います。集中の糸が切れてしまう案件もあります。それは大概いろんな横槍が入って、あれやこれやと配慮しているうちに集中が途切れてしまうのです。その集中が途切れないように、現場を任せてくれたオーナーの皆さん、そして私をサポートし、助けてくれた現場の皆さん、つまり良いチームに恵まれたとしか言いようがありません。

そろそろあの現場事務所もバラされていくんだろうなぁ。そうでなかったら困るんですが。。。。ぼんやりそんなことを考えます。これがうめひびきロスです。

とかなんとかと、今頃になって送迎バスに梅の絵をデザインしながら思うのでした。
このバスは白いまま今走っているんだろうな、、早く作らないと。。まだ仕事は終わっていなかったんだ。

岡部泉

うめひびきオープン3

2017年11月1日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎ついにグランドオープン!

こんな快晴がこれまであっただろうかと思うくらい、雲ひとつない青空が広がっています。まさに日本晴れ。青い空を背景に赤壁と白の障子と黒の柱、見事に日本の代表的な色の組み合わせが映えます。赤壁には梅と波と雲が舞っています。暖かな日差しの中で開業式典が行われました。私も初めてのテープカットというものをさせていただきました。

施設の披露も行われ、JR九州の皆さんから合格点をいただくことができました。ラウンジではLP版の「A列車で行こう」が流れ、まさにしゅっぱーつ!なのです。
祝辞の中で一番嬉しかったのは、青柳社長が、うめひびきをJR九州の旅館として、これから全面的にバックアップしますというフレーズでした。どんなにいい館でもお客様あってこそなのです。流行ってくれないと困るのです。これで一安心。

この門出を温かく見守ってくださって、本当にありがとうございますと言いたいです。

岡部泉

うめひびきオープン2

2017年10月29日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎検査と試泊

施主検査が行われます。なんといってもギリッギリッの工事なので、なんとなく見ていたようで綺麗になってみるのは初めてです。皆でぞろぞろと見ていくのですが、ついつい一部屋で長居をする傾向にあります。ついでにオペレーションの話にまで及んでしまうからです。でもここが大事なところです。

内装においても多少の修正や手直しは出てくるものです。細かいところに気がつくものなのです。建築については散々気にしてきたので、今となってはどうしようもないので、この段階で私が気になるのは、家具や備品の置き方やらその精度です。もっとできたなぁと思ったり、こうしてもよかったなぁとか、、しきりに思われて心がざわざわします。どんなときも完璧はないんだなと思います。次はもっともっと早く準備をして完璧を目指したいと思うのですが、いつもそうならないのが不思議。それは一つが決まらないとその次のもののバランスが決まらないということなのです。いっぺんに決まる術を身につけないといけないです。

とにもかくにも、こうして形になったことでみなさんに安堵感がひろがります。
そして試泊が始まります。試泊は本来設備チェックなどのために行うのが目的ですが、もう一つの大事な目的はみなさんのご苦労さん会なのです。苦労を分かち合い思い出を語り、お互いをたたえたる会なのです。しかし、大概その余裕はなくこの際、ストレスをぶっちゃけたいことの方が多いのです。でもそうして沢山発散させて次へと進めるのです。

大変な工事ではありましたが、それでも楽しいことは沢山ありました。ああでもないこうでもないと策を練ったり反省会と称した飲み会、、それもこれもみなさんが同じ方向を見て進んだ共有感が充実感をもたらしてくれました。また一緒にやりたいですと言ってくれる若手の設計のT氏、設備を担当してくれたN氏。そうですね、次はもっとうまくやれそうです。そんな機会があればと思います。

およそ10ヶ月あまりの工事でした。あらためてお疲れさまでした。

岡部泉

うめひびきオープン1

2017年10月28日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎日田、、いつも雨

うめひびきは、11月1日に向けて最後の仕上げに入っています。家具や備品などの搬入と検査もあるので、台風が近づく中伺います。日田という漢字に似合わず日田に入る時はいつも雨。。今年の夏から秋は本当に雨が多いのです。ひびき渓谷がもやでけぶる様は本当に幻想的ですが、最近は朝のみならず昼も夕方ももやで包まれています。すこしは晴れてくれないのかなと思うほどです。

紅葉もまだまだ先のようですが、我々はまずはオープンを目指していきます。その後の赤く色づくひびき渓谷を包むあさもやの景色が待ち遠しいです。

岡部泉

うめひびきの山

2017年10月17日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎いま私がやれることは願うだけ

山登りにも隊列順があるもの。工事も登山みたいなもので、歩き始めの道は穏やかでもまだ足が慣れていないので、それなりにきついものです。企画や基本設計の時期です。途中の五合目くらいは、道にも迷うし行ったり来たりの無駄もします。でもああでもないこうでもないと皆で試行錯誤後する楽しみがあります。後半の7合目あたりはさらに頂上を目指すもその頂上は見えているのに到達できないもどかしさがあります。いまは9合目。工事関係の人たちの最後の踏ん張り時です。先鋒隊の私の踏ん張りどきは今年の8月でした。大きな指示が出せる最後の時期でした。毎日が苦しく頭の中がグルグルとしていました。

いまは、ただ、工事が安全に終わることを祈るだけです。11月1日オープン、頂上を目指して頑張ってください。

岡部泉

梅の赤壁オープン

2017年10月16日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎ついにその姿が現れる

昨日まで足場の間から見ていた梅の赤壁がついに現れました。朝から足場を手際よく外していきます。少しずつその姿が、、
そしてついにその全貌が現れました。
おおおーーーっ。。。きたぁ〜。。

これまで一緒にこの赤壁をつくってきてくれた現場の方々一同、赤壁の勇姿に顔がほころびます。その姿は期待以上の堂々たるものでした。へんてこりんなデザインだと皆さん、疑問に思ったことでしょう。どうなんのと不安に思ったことでしょう。しかし、そのへんてこりんなデザインが、左官の名匠、原田氏の手によって風格が加わり、新しくも普遍性をもった意匠に変わりました。

ありがとうございます。原田さんにお願いしてくれて。
この赤壁は原田さんにやっていただきたいと、現場が始まる前から願っていましたが予算の都合もあり、なかなか言い出せないでいました。そこにとある偶然が重なり、原田さんがやってきたのです。これぞ、願えば叶う!でしょうか。しかし、それを許してくれた所長や皆さんに感謝です。

ベンガラの松葉びきの赤壁はしなやかな天鵞絨のような風合いに思えます。小端瓦は梅と雲と水をイメージしながらデザインしましたが、その全体はまるで天に向かう龍のようにも鳳凰のようにも見えます。

夕方、この赤壁に灯りが灯りました。するとその龍や鳳凰がさらに力強く浮き出して見えます。壁から動き出しそうです。ぼんやりこの壁を眺めているとこれまでのことが浮かんできますが、やはりこういう大変な仕事は完成した時の満足度が違います。

「面白かったね。またこんな仕事してみたいね。」と隣のN氏に言うと「ううう、、僕はしばらくはいいです。。」と言います。そうだね、大変だったもんね。すこし休もうね。

岡部泉

日田の町

2017年10月15日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎手仕事のあるまち

今日は現場は、日曜日なので職人の皆さんも少ない。そこでここらの地域調査です。うめひびきのS氏に案内してもらいます。まずは以前から行きたいと思っていた小鹿田焼の窯元を訪ねます。途中の山道には今年の豪雨がもたらした傷跡がまだ残っていました。あらためて災害の大きさを確認することになりました。

小鹿田焼はまさに民藝の器です。私は昔から柳宗悦の民藝運動に賛同していて「用の美」という言葉が好きでした。小鹿焼は全てが手作り。土も釉薬もここで作られます。緑釉に用いられる酸化銅も銅線を焼いて銅を取り出して釉薬にまぜるとのことでした。もちろん器つくりも電気もいらない蹴ろくろです。訪ねた窯元にも二つのろくろがありました。お父さんと息子さんのろくろです。大概はろくろは二つと決まっているようです。これも作りすぎない、産業品にならない、大量生産にしない小鹿焼のポリシーなのでしょうか。土も釉薬も全てが自然のものです。丁寧に自然の産物を使って暮らせるだけのものをつくるということなのかもしれません。なにせ、今は有田だって陶土がなくなってしまっているのですから。一度焼いた土はまた土に戻ることがありません。陶器つくりは地球を削ってできているといつも思っていました。
民藝の真髄は、手の限界が自然や物事の調和を整えるということなのではないでしょうか。人間が奢らないように手という枠をつくるのが民藝ということなのです。

この窯元さんでは、うめひびきの卵をとく緑釉の受け皿付き茶碗を作ってもらいました。本当はこんな大きさの器はつくらないんだけどとお父さんは言います。いつも作っている形とサイズではないとのことでした。でも、つくってみたら案外他のお客さんにも喜んでもらえたそうです。お客さんがまたお客さんをつくるんだねと言ってくれてよかったです。

私も小鹿焼の器を購入して、この山深い静かな窯元を後にしました。次は豆田町で開催されているバーナードリーチと小鹿焼の展示会を見に行きます。
バーナードリーチの作品は、駒場の民藝館でよく見たものです。良く聞いたらその民藝館の作品が陳列されているとのことです。あら、懐かしい。
民藝は世界にももちろん通じているし、民藝の心は共通です。詠み人知らずの民藝こそ愛すべきものであると思います。

昔の想いが左官の町、豆田町でよみがえってきました。
天領の町、豆田ではかつて物、人、金が盛んに流通していただろうと容易に想像できるほどしっくい壁でできた蔵が立ち並びます。左官好きにはたまらない町なのです。その多くの蔵には、その家の繁栄を願うべく鏝絵も付されています。長寿を祈る鶴が舞い、子孫繁栄を願う兎が勇ましく波に乗り、出世を望むために鷹が飛ぶ。松、梅、竹、恵比寿、大黒などそれぞれのモチーフに願いを込めた鏝絵は当時、左官の名手がその家の主人の想いをこめて腕を振るったことでしょう。まさに詠み人知らずですが、手の仕事がまちに根付いていたことがわかります。そういう手の仕事があるまちは、時代を経てもこれを残したいという愛着が生まれてきます。

我がうめひびきにも、この伝統的な手の仕事を残すことができました。大きな赤いベンガラの壁面には、繁栄を祈るため梅の花が波にのり空に舞うがごとくです。どうぞ、いつまでもこの館が愛され繁栄しますように。。。

岡部泉

うめひびきの赤壁

2017年10月14日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎ついに始まった、、

うめひびきの赤壁の上塗りが今週始まりました。いよいよ、ここに赤い色が登場。待ちに待った赤壁。
日田はさすがに蔵の街で、いい左官の仕事が残っています。その蔵のディテールとダイナミックな仕事に触発されてこのうめひびき新館の赤壁があります。日田の左官の名人、原田氏の渾身の思いをここに込めてほしいと思っています。

現場からその経過が送られてきます。あぁ、、いいなぁ。。わくわくしてきます。ということで、北海道からすぐ九州に飛びます。この仕事を見ずしてこの現場の意味がありません。朝飛行機をキャンセル待ちして飛び乗りました。わくわく、どぎどき。。

現場のN氏に日田まで迎えに来てもらって現場へ直行。やってるやってる。原田さんもきてくれている。赤壁の松葉びき(原田さんの庭の松葉を束ねて生渇きの赤(ベンガラ)しっくいに松葉で優しく表情をつける技法)が赤の色に優しい影をつけていてさらに赤が深くなっています。
やはり赤は人の心を惹きつける色です。

その赤を引き立てるように柱は黒ノロになっています。そして赤壁には小端瓦が梅の形や水や雲の形になって描かれています。その隙間を塗るのは大変だったでしょう。特別なコテも作ってもらいました。その数40本。小さな隙間を埋めるほそーーいコテもあります。爪楊枝くらいの隙間なのです。

それを全国から集まってくれた18人の左官職人さんたちが一気に仕上げてくれました。

今日は、蔵の入り口となる玄関のしっくいの仕上げです。これがまた美しい。コテの技が光る素晴らしい仕事なのです。夕方暗くなるまでその仕事を見させていただきました。

岡部泉

日田の旅館

2017年9月2日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 奥日田温泉 うめひびき

◼︎宿題もだんだんと減って。

日田の旅館はまさに佳境。昨日までに沢山の意匠や指示書を出しました。確実に私の宿題は終わりに近づいています。8月の末までに、現場の皆さんが困らないように未決の素材や意匠がないようにしたいと思っていました。私に課せられた宿題は残すところあと数項目となっているはずです。

ここ1ヶ月、現場に行けていないので、次に行く時が楽しみです。
梅干し壁に瓦が貼られていることでしょう。この作業も見たかったな、、

同時並行で、梅酒工房や売店、道の駅があります。考えてみたらかなりの仕事量です。
我ながら、よくぞここまでやれたものだと思います。関わっているのが、不肖の弟子、T君と二人だけなんですから。これも現場の皆さんの協力あってのことです。現場がとてもいい関係で進められたことが一番の助けでした。長い現場はやはり楽しく面白くが原則です。まだ終わってはいませんが、ようやく7合目。ここまでありがとうございましたと申し上げたいです。

岡部泉