無冠

2019年4月28日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

■何も認められるものをもっていない

こうして、碧の座という案件を立ち上げて、5月1日にグランドオープンします。令和元日です。北海道の新聞に全段の落成広告がでます。ゼネコンさん中心にした落成のお知らせです。ラフがあがってきました。落成広告をつくっている会社の方に言われます。あれだけやってもいつでも岡部さんの名前は上にいかないんですねと。なんだか気の毒ですねと。

私は一級建築士でもなければ、これといった建築系の資格はありません。建築以外にも何もありません。賞をもらったこともありません。なしなしです。無冠というのが清々しく感じるくらいです。

しかし、世の中はそうもいかず、無名な人間では認めようがないのです。日本では特に資格偏重が強いと思います。どんなに現場の中心にいて皆を先導していても、何も資格がないと軽く扱われがちです。

竣工式と落成広告の時とレセプションパーティの時が一番嫌です。大勢の人が集まると必ず序列ができるからです。どうでもいい人たちが集まってきて、資格という色眼鏡で、どうでもよく人をランク付けする時です。

ゼロから生み出すことの価値は認められないのだろうか、当たり前のルールを守るだけよりも、これまでにないものを生み出すことの方がどれだけ面白く責任が重いのかと思います。
建築業界はいつまでも古い世界です。

もし私がこの碧の座で、賞をもらえるとしたら、「いっぱい考えたで賞」なのではないかと思います。そして、私が最も賞をあげたい人は、一緒に現場をやってくれたY君に、「一番頑張ったで賞」をあげたいです。
そして、現場の所長並びにみんなに、「現場敢闘賞」をあげたいです。名も無き我々こそ、底辺を支えてきた称えるべき存在であることを、ここに記したいと思います。

岡部泉

大連休

2019年4月27日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎今日は何曜日だ、、もうどうでもいい

これまでにない最大級の大連休が始まりました。日本の祝日数は世界一らしい。大概の先進国では10日くらいですが、日本は16日ほど。振替休日なんかいれたら、22日くらいになるんじゃないかな。。
今回の連休はオセロみたいなもんで、あっという間に10日。そして経済効果はこの連休で降下中。
町のお豆腐屋さんだって給食がないから注文なくて困ってた。きっと小さい店や会社はこまっていることでしょう。うちもだ。。

大丈夫か、日本っていいたくなります。
とこんなことを言っているのは、久しぶりに新聞を読む余裕があるからです。北海道の案件があと残工事があるだけで、ひと段落してほっとしているところです。昨日まで背中が痛い痛い病でした。それも過労だったとおもいます。よく頑張ったな。。今日はマッサージにいって肩が軽くなりました。

もうこれ以上はできないな、、もうこれでおしまいか、、と思うほど、この案件は大変でした。本当は今も現場は大変ですが、わたしには何もしてあげられません。がんばってと祈るばかりです。

工事中は、土日もなく働いて曜日感覚がなくなりました。こうして連休になるとますます、今日は何曜日なのかわからなくなります。でももうどうでもいいのです。どうせ毎日仕事をするだけなのですから。大連休であっても関係ないです。

会社には誰もいませんが、それでも会社に行くという病気? 
でも嫌いじゃない。今日もたくさん仕事ができました。ほんと気持ちいい。掃除をする感覚と似ているのかな。

岡部泉

眠る

2019年4月26日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎頭がいつも起きている

工事を終わらせるために、あれやこれやと考えを巡らせていると頭が休むことがありません。体は横になっているのですが、頭はいつも起きているようです。
おかげで、安定剤を飲まないと眠れなくなりました。

それでも体と頭が眠ることでまた活力が湧いてくるようです。

もう眠くてしょうがないから寝る。。そんなことをしてみたいと思っていたら、本当に眠いなぁと思うようになりました。
頭も正常に動かなくなったからなのか、体が働きすぎて容赦なく休みたくなったのか。
慌てて、急いで寝ようと思うのでした。

岡部泉

クタクタ

2019年4月25日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎どうしようもなく体が痛い

ようやく東京にもどりましたが、体が痛くてどうしようもありません。それでも会社に行きますが、もう倒れそう。緊張していたので、ここまでこれたのでしょうか。ふと緩んだ体が一気に文句を言ってるようです。

わかってるんです。よくがんばりました。わたしの体さん。休ませてあげたいのですが、そうもいかず、、、あと少しです。

岡部泉

阿寒へ

2019年4月24日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎木彫の国

阿寒へ行きます。昨年、悲しいことがありました。とても親しくしてもらっていた藤戸先生がなくなりました。阿寒の木彫家でリアルな彫刻を得意としたアイヌの方でした。藤戸先生の彫る熊や狼の毛並みは、本当にリアルで一本一本の毛の質感を感じることができます。リアルに徹した木彫家です。お家に呼んでいただき、いろいろな話を伺い、また木彫をする姿もよく拝見させていただきました。

奥様はお元気でいるでしょうか。。いつも気になっていました。本当に仲の良いご夫婦でしたので、気落ちしていないか心配でした。せっかく阿寒にきたので、お寄りしてみます。「あらぁ、、」とお迎えしていただきました。藤戸先生の御霊前にもお線香をあげさせていただきました。その遺影の写真の瞳はどこから見てもこちらをみているようです。「おい、ちゃんとがんばってるか」と言われているようでした。

奥様は、エゾシカの皮で財布やポシェットをつくりはじめていました。息子さんも繊細な木彫をしています。この間レクサスの展示会に出品したそうです。確実にみなさん歩き始めています。本当によかった。

阿寒に来た目的は、木彫の調達です。この方も数年前になくなられましたが、エカシ(村長)だったトコさんの彫刻をいただくことにしました。息子さんは、阿寒のリーダー的存在です。2メートルほどあるトコさんの彫刻は、抽象ですが自然の息吹を想像させるものです。原初的な形が碧の座のコンセプトにも合います。トコさんにもいろんなことを教わりました。この彫刻が碧の座に来るのも何かの縁なのかもしれません。

作品名は、「ヤイレスポ我自らを育てる」
我、自らを育てる、我、自らを生み、自らに命を与える、我、神なり、我、人間なり、我、自然なり、風となり 光となり 黄金の玉となり 森羅万象の命となる

このような詩がついています。
哲学者だったトコさんのことを思い出します。

阿寒には、静かな想いがひたひたと漂っています。
これで東京に戻ります。

岡部泉

代表チェック

2019年4月22日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎もう何も変えられないんだけどな、、

今日は碧の座の二回目で最後の代表チェックです。社長たちも工事関係者も勢ぞろいして緊張しています。もうこれ以上変えることはできないんだけどな。
説明はわたしの役です。というか、何か起こった時の防波堤の役です。

まだ完成していない時に見に来てくれました。最近の工事は、ほとんど任させてもらっていて、思うようにやっています。(しかし、本当は流行る旅館のため)
今日は家具も入りほとんど完成に近い形を見てもらいます。

細かい注文をつけられます。褒めてくれるところはないのかな、、とおもいながら後を追います。
「いいところはないんですか」と突っ込むと、ギョロとした目で、「今わたしが言わないとだれも言えないでしょ」と言われます。

ああ、、こんなに大変だったのに、、とおもいながら、「ハイハイ」と言いながらまた後を追います。「ハイ」は一回でですよね。。

ご注文としては、味付けとして彫刻や装飾の追加です。シャープすぎると人は居心地が悪いらしいです。それもわかります。フンフン、、

そしたら、「明日、阿寒に行って木彫をもらってきてね」と言われました。「えっ、、明日?」
「なんでもすぐです、急いでね」。経営者はいつも急ぎなのです。わたしもそういうところあります。

明日は阿寒入りとなりました。予定が狂いました。

岡部泉

ついに終わりが来た

2019年4月18日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎碧の座、いよいよ手から離れていく

終わらないといけないとおもいつつ現場に通っていましたが、いざこうして終わりに近づくと寂しい気持ちになります。

今日は試泊の日です。現場の皆さんと施設点検をしていきます。といいつつも結局は大飲み会になります。こんなこともあった、あんなこともあった、、そんな話で盛り上がります。こんな現場なかったですと現場の人たちはいいます。どんな現場だったかというと、工期は短い、面接は広い、そしてデザイン満載、土壁満載。だれもがやったことのなかったデザイン案件でした。これなんですか、どうするんですか、、こればかりで始まった案件でした。

しかし、その難しさが力に変わりました。実は指示を出す本人でさえ、次はどうなっていくのかわかりませんでした。工期と見積もりと手の質、それぞれを見極めて一体なにが正しいのか、なにが効果的なのかをいつも考えてき来ました。苦しい苦しい案件でした。

それでも現場にはいつも笑顔と会話に溢れていました。本当に辛い中、楽しくやれてこれました。これもゼネコンさんの配慮であったと思います。

バーラウンジで、中庭の水の波紋を見ながら、碧という名前のウイスキーをみんなで飲みます。疲れ切った体に沁み込んでいきます。
皆が部屋に帰ってしまったあと、一番現場で活躍してくれた若者となんだか寂しいね、これで終わってしまうんだね、終わらないと困るのに終わると思うとなんだか名残惜しいですねといいます。ほんと同感。いつまでも工事が続いていてほしいと思ったりします。それは本当に苦労して頑張った人に訪れるロスなのです。

そうだ、一番苦労したロビーでこんなことはもうできないから大の字になって寝てみよう。久住さんが作ってくれた土壁とともに大きな大樹のような黒い柱が天に突きさすように見えます。碧の座文様の向こうの空が青く光ります。

ついこの間までここに足場があったのです。本当に終わってしまって私たちの手から離れていきます。そしてまた皆バラバラに次の案件に向かっていくのでしょう。

また、心を思い切り使えた案件を経験させてもらいました。皆さん、本当にお疲れさま。そしてありがとうございました。

岡部泉

いつの間にか四月

2019年4月16日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎悲しいと感じる暇もなく時間が過ぎていく

ひたすら、働いて働いて、気がつけば四月。今年ほどお花見などというイベントに遠い年はないように思います。代々木公園近くという好立地に事務所はありますが、お花見スポットに近寄りたくないような気がするのもおかしいです。浮かれるとかそんなことではなく、ただ集中が途切れることが困るのです。途切れてしまったら、今はだめなのです。それほど心はぎゅうぎゅうに縛られているように思います。

ひたすら、ひたすら、北海道と東京を行ったり来たり。しかし、北海道の碧の座は、もうすぐ姿を見せる時がくるのです。とても苦労した案件ですが、とてもいい土壁ができました、とてもいい暖炉ができました。誇れる案件となりました。

心が苦しくてもこうして何かを生み出せたことをありがたく誇りに思います。
また明日、最後の仕上げに北海道に向かいます。

岡部泉

縄文暖炉

2019年3月23日 | izumi | イエローデータデザイン日記, 碧の座物語

◼︎巨大な土偶のボディ

碧の座の暖炉を久住さんに塗ってもらっています。大きなぐるぐるの縄目が印象的な暖炉です。スサが入ることで土器と違って動物の毛並みのようなふわっとした質感があります。
段差のある細い足場の間をくぐり抜けるようにするするとくぐり抜けていきます。その姿とスピードはジャングルの木から木を渡るお猿さんのようです。円柱の暖炉を囲み、たくさんの職人さんが塗ってくれていますが、その全員のコテの使い方を鋭く観察しています。少しでも違っているとするすると近寄り修正をしていきます。

本当の職人です。それも本当にトップの左官です。面白いです。左官という世界の中で組み立てられてきた経験の積み重ねがあります。そして本当に土が好きなのです。土壁のことを話す時は永遠の少年のようです。

ずっと見ていても飽きないほど、この縄文暖炉はみるみる成長をしていきます。

岡部泉

記憶

2019年3月20日 | izumi | イエローデータデザイン日記

◼︎捨てないと入ってこない

人生の最も佳境な時かもしれない。。それほどにたくさんのやることが押し寄せてきます。もう記憶にとどめることができません。
時間があればひとつひとつ丁寧にとおもうのですが、そうもいかず、わたしの限られた脳の引き出しはしまうところがないようです。

次々にわすれていかないといけません。引き出しの中身を捨てながら、次のことを受け入れなければ。。

また明日は支笏湖へ行きます。現場の足場がとれたというお知らせがありました。所長の声が妙に明るい。先が見えた証拠です。次においこまれるのは私です。。。

岡部泉